YOMOYAMAニュース&コラム NO.3
『原作と映像の隙間』
さて、今月も始まりましたニュース&コラム。
今月も先月と同じく映画レビューです。
「なんだか最近、映画レビューばっかだな‥‥」
と思っているそこの貴方!、その通りです!(笑)
それくらい和清は『映画』というものが好きなんですが、
ただ、毎度毎度お馴染みの映画レビューをやっても、さすがにつまらないと思い、
今回は『原作と映像の隙間』なんて、ちょっとカッコ良さげなタイトルを付けてみました。
要するに原作と映像を見比べて、寸評でも書いてみようかと思い立ったわけです。
「そんなの原作の方が面白いに決まってんじゃん!」
なんて思っている方がほとんどでしょう。その通りです(笑)
しかし、まれに原作を超えている映像というものは存在しているんです。
和清が記憶にしているところでは山田太一原作、大林宣彦監督『異人たちとの夏』
結構古い作品ですが、一般的には、
「原作よりも映画の方が面白い!」
と言われてます。
他には、前にも紹介した伊坂幸太郎原作『アヒルと鴨のコインロッカー』なんかも、
映画の方が好きだと言う人が居ますしね。
そんな映画を求めて、和清は映画を見漁っているわけです。
と、言う訳で、今回は若者向け作品を3本ほどご紹介しましょう。
『恋空』『ネガティブハッピーチェーンソーエッジ』『リアル鬼ごっこ』
すでに知っている方も、まだ知らない方も、和清なりの解釈をお楽しみ下さい。
(ちなみにメンドーだったんで、ストーリーは書いてません。
大まかな作品解説だけ添付しておきますm(_ _)m)
【恋空】
(作・美嘉 監督・今井夏木 出演・新垣結衣、三浦春馬)
〇作品解説
作者でもある主人公『美嘉』と恋人『ヒロ』の自伝的青春恋物語。
〇原作レビュー
とりあえず、この本を買う時が激しく恥ずかしかった(笑)
ターゲットは女子中高生中心。和清は36歳のオッサンですから‥‥
それでも「流行ってる本だし、読んどいた方がいいのかなぁ」なんて思いから、
頑張って読破してみました。
まず、元になっているのがケータイ小説なんで、本は全編通して横書きです。
本好きの人には拒絶反応が出そうですが和清的には、
「時代の流れかな‥‥」
って感じです。
実は和清、当サイトの掲載小説も、本来なら縦書きで発表したい人なんですが、
ネット小説の縦書きはどうも敬遠されがちで‥‥
敢えて横書きで掲載しているのですが、
しかし、横書き小説が邪道だとも思ってはいないわけで‥‥
さっきも言いましたが時代の流れなんです。
昨今では『日本語が乱れている』なんて言われていますが、
和清に言わせてもらえば『言葉とは時代と共に変化してゆくもの』
大事なのは、『本来の意味を忘れない』という事だと思っています。
あぁ、ちょっと話がズレてしまいましたね、スミマセンm(_ _)m
えーとですね‥‥
まずはこの『恋空』という小説、実話、という話なんですが、
信じていない人達も結構居るようです。しかし、そこは置いときましょう。
とりあえず泣けますよ、この小説。
青春時代なんていうホロ苦いものも思い出させてくれましたし、
何の期待もせずに冷めた気持ちで読み始めたわりには、
ラストシーンやヒロの日記には、通勤電車の中で泣かされそうになってしまいました。
一人、部屋で読んでいたらマジ泣きしてたと思います。
ケータイ小説という手法も良かったと思います。
リアルタイムで読んでいた女子中高生達には、
まるで友達から送られてくるメールのような感覚があって、
とても身近に感じられたのでしょう。
その辺りがヒットの理由だと思います。
で、ここからが酷評です。
まず、序盤から中盤にかけては小説になっていません。ただの日記(ブログ)です。
率直な感想としては『女のエゴ』というものを感じました。
いや、『少女のエゴ』と言った方が正しいかもしれません。
『美嘉とヒロの悲しい恋物語』みたいなものが触れ込みだったような気がしますが、
ハッキリ言えば『美嘉の青春物語』というのが正しいと思います。
ヒロという人物が中心になるのは最初と最後だけなんで‥‥
テーマもはっきり見えてこないし、ダラダラしてる部分も多いし、
読んでてかなりツライ部分もありました。
ホントに素人が書いた物だな、というのが率直な意見です。
まあ、驚愕すべきは、終盤に近づいてくる頃には小説っぽくなってるって事でしょうか。
‥‥でも、やっぱり泣かされますよ(笑)
〇映画レビュー
良い出来でしたよ。原作に比べてストーリーはよくまとめてあるし、テーマもハッキリ見えます。
脚本に関しては、プロの仕事って感じです。
キャストも三浦春馬(ヒロ)は適役だと思うし、新垣結衣(美嘉)はカワイイし(笑)
ただ、原作で語られている『ヒロの魅力』みたいなものが映画では描き切れていないのが、
ちょっと残念でした。
それと、原作の『美嘉』は、かなりのギャルなんですが、
新垣結衣演じる『美嘉』は、それほどでもありません。
まあ、その辺は事務所(オトナ)の事情かもしれませんね。
とりあえず、原作を読む前に見る事をオススメする映画です。
原作を知らない嫁の友達は大泣きしたと言っていましたし、
和清も原作を知らなければ、きっと泣かされていたでしょう。
もっとも、うちの嫁はアクビしながら見ていましたけど‥‥
【ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ】
(作・滝本竜彦 監督・北村拓司 出演・市原隼人、三浦春馬、浅利陽介、関めぐみ)
〇作品解説
何に対しても熱くなる事ができない主人公『山本陽介』
ある雪の日、木刀を抱えて凍えながらうずくまっている女子高生『雪崎絵里』と出会う。
彼女はチェーンソーを持った謎の大男と戦っていた。
その大男を倒すこと、それが彼女の青春の全てだった。
陽介は、そんな彼女に自分の青春の目的を見出そうとする。
一風変わった青春小説。
〇原作レビュー
『NHKへようこそ』で一躍人気作家となった滝本さんのデビュー作です。
本作は角川学園小説大賞で特別賞を受賞した作品なんですが、
和清的には大賞でもよかったんじゃないかな、と思うくらいの良作です。
(まあ、賞の”色”的には、ちょっと外れていたのかな?)
ファンには『ネガハピ』という略称で親しまれている本作品、
何でも滝本さんの処女作なんだとか。
そのわりには文体はシッカリしているし、ストーリー構成もまとまっています。
テーマもライトノベルと位置付けるには非常に深いところをついていて、
全体を通してのテーマもさることながら、
担任が主人公との個人面談で説教するシーンなんかには、
その説教のセリフに思わず考えさせられました。
‥‥で、ここからがまたまた酷評です。
しかし、正直あまり言いたくもないんですよねぇ〜
未だデビューの出来ない才能無しが若手をひがんでるみたいで‥‥(苦笑)
しかし、それでも敢えて言わせてください。
まず、テーマのモチーフになっているのは完全に大槻ケンヂ氏の歌詞、筋肉少女帯です。
(しかし、筋肉少女帯のファンだというのは本人も公言しています。)
チェーンソー男というネタは、筋少の『釈迦』という曲のプロモからなのがわかりますし、
チェーンソー男の存在意味は、
やはり筋少の『風車男ルリヲ』という曲の歌詞の中に出てくるルリヲそのものですし、
作品中にも大槻氏が良く使うような言葉が所々に出てきます。
筋肉少女帯や大槻作品をよく知っている人であれば、
「これって筋少とかオーケンのパクリだよね?」
と思う人も少なくないんじゃないんでしょうか。
『NHKへようこそ』は、あいにくと読んだ事がないので何とも言えませんが、
ここから更に自分だけのオリジナルを突き詰めてもらいたいものですね。
‥‥とは言うものの、これを読んで”おもしろい”と思ってしまった自分が、
妙に悔しいんですけどね(笑)
〇映画レビュー
シチュエーションが原作と大分違うのは、実写ですし仕方の無い事だと思います。
その分、VFXは結構作りこんでいるのが分かりますし、
主人公『山本陽介』に市原隼人、
謎の女子高生『雪崎絵里』に関めぐみ、
死んでしまった憧れの友達『能登弘一』に三浦春馬と、
配役も悪くありません。適役ばかりだと思います。
しかし、映画を見終わった後に抱いた和清の率直な思いは、
「この監督さんって、本当に原作を面白いと思って作ったのかな?」
という疑問でした。
原作がテーマにしている事が描き切れていないように思いますし、
なによりも残念なのは、主人公の決めゼリフ(?)である、
「オールオッケー!」
という言葉が一度も使われていないこと。
この「オールオッケー」という言葉は、
その昔、当時の若者達の性格を象徴する言葉だった「まいっか」という言葉と同じくして、
今の若者達を象徴しているように思うのです。是非使ってもらいたかった。
(ポスターには書かれているんですけどね‥‥)
『市原隼人と三浦春馬の人気だけで観客動員を狙った映画』
とまでは言いませんが、原作と比べると別物に近いです。
ただ、原作の中にも出てくる能登が書いたメチャクチャな詞、
あれにマジで曲を付けてしまっていたのには驚愕しました。
しかも結構カッコイイし‥‥(笑)
【リアル鬼ごっこ】
(作・山田悠介 監督・柴田一成 出演・石田卓也、谷村美月、大東俊介)
〇作品解説
西暦3000年、日本とは似て異なる国を治める王様は、
「自分と同じ性を持つ『佐藤』を皆殺しにせよ」という命令を下す。
その日から、主人公『佐藤翼』の生き残りを賭けた逃亡劇が始まる。
SFなんだかホラーなんだか、よくわからない作品(笑)
(注・これは小説の概要であって、映画のストーリーはだいぶ違います)
〇原作レビュー
いつかはこの人のレビューを書こうと思っていた和清、やっと書く事が出来ました。
『山田悠介』氏。
実はテビューした時から注目してたんです。
本作は文芸社から実費出版され、累計発行部数は、なんと100万部!
実用書でもなければ、何かの大賞を受賞した作品でもなく、
まったくの無名作家が100万部。
この出版不況と言われているご時世に小説で、しかも実費出版でこの数字は驚愕に値します。
「こいつぁ、ただ者じゃねえ‥‥!」
和清はドキドキしながら、その本を手に取ったのでした。
あいにくと実費出版の方は手に入らなかったので、
幻冬舎から出された改訂版を読んだのですが‥‥
‥‥いやいや、2ちゃんでも叩かれまくっている山田悠介氏。
しかし、酷評なら誰でも書けます。ここは一つ賛評を書きましょう。
まず、文章のヘタッピ加減は"デビュー作"という事で大目に見れます。
逆に初々しさが出てて良いのではないのでしょうか。
中盤から終盤にかけては、文章が成長してきて中々読み応えがあります。
ストーリーに関しては展開も速く、主人公の取り巻き人物達の設定も悪くないです。
主人公の置かれている家庭環境や鬼から逃げるシーンなどは、
結構、感情移入できます。
ストーリー全体を取ってみても斬新性があって良いと思います。
しかし、それでも分からないのは、
『なんで100万部もの発行部数に辿り着く事が出来たのか?』
ということ。
和清、調べました。とにかくネットを駆使して調べまくりました。
しかし、ほとんどの人達は"分からない"ばかり。
ネットで話題になり始めたのが切っ掛けだったらしいのですが、
それ以上の答えが見付かりません‥‥
諦め掛けた時、一つのブログに辿り着いたのです。
そこにあった見出し。
『読むと一度は頭痛が痛くなる平成の奇書』
そのブログには、改定される前の文が一部掲載されていました。
そう!、答えはそこにあったのです!
改定前の文を一部抜粋しましょう。
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」
「騒々しく騒いでいる」
「十四年間の間」
「ランニング状態で足を止めた」
「遠く離れると横浜の巨大な遊園地ができた」
「いざ、着地してみるとそこは森の様な草むらに二人は降り立っていた」
さて、そろそろ我慢の限界がきました‥‥(-_-#)
小学校の国語のテストで"これを正しい文に直しなさい"という問題に、
こんな文をよく見かけたのを思い出します(苦笑)
要するにこの小説が売れた一番の理由は、
この目も疑いたくなるような斬新過ぎる文章表現にあったんです!
しかも氏は、この文章を本気で正しいと思って書いているのだと思います。
だって文芸社のインタビューで「読書なんか大っ嫌い」と言っていたそうですから‥‥
ちなみに幻冬舎での改訂版では約七割が改定されているらしく、
一部、本人の物ではない文章も入っているそうです。
『箸にも棒にも引っかからない物が良い方に転んでしまった』
和清はそう評しますが、さて、貴方の評価はどうでしょうか?
〇映画レビュー
さてさて、気を取り直し、続いて映画の方を取り上げてみましょう。
‥‥と、その前に一つ言っておく事が。
この映画、まったくの別物です。
それは、原作でのテーマが表現し切れていないとか、そんなんじゃなく、
本当に別物なんです。原作小説は原作と呼ぶより"原案"と言った方がいいのではないのか、
それほどの別物になっています。
主人公はパラレルワールドに飛ばされる、という設定になっています。
ストーリーのテンポも良く、見る側を飽きさせません。
序盤での出来事がキチンと終盤に繋がってきているし、
展開にも、ちゃんと説得力があります。
ラストでの意外性も中々のものでした。
強いて苦言を述べるなら二つ。
一つ目は、物語の中心役となっている若手三人の演技の未熟さ。
しかし、柄本明、吹越満、松本莉緒といったベテラン俳優陣で周りを固めていますので、
そんなに鼻につくことはないと思います。
二つ目は、王宮内のセットのチャチさにくわえ、エキストラも少ないので、
世界観がこじんまりしてしまっていること。
まあ、内容と見合わない低コスト(総制作費は1億)映画なんで、そこはいなめないのかな?
それでも、やたらと気になるほどの違和感はありませんでした。
全体的にはSF作品としてまとまっている、そんな映画ですね。
素直に面白かったですよ。
一緒に見ていた和清の息子も「こえー」と連発して楽しんでました(笑)
ちなみに脚本は監督である柴田一成監督が手がけたそうです。
そうそう、原作とはまったくの別物、というので思い出しました。
『親指さがし』
あれは映画化する際に、山田悠介氏が大幅にストーリーを書き換えたらしいのですが、
始まって15分でオチがわかってしまいました(笑)
なんだか久し振りに力を入れて書いてみましたが、いかがだったでしょう?
結局、原作を超えた映像、というものは今回は見付かりませんでした。
(リアル鬼ごっこは、まったく別の映画でしたしね)
また、機会があればこの企画はやってみたいと思っています。
お楽しみに。
では、また‥‥m(_ _)m