月刊YOMOYAMA書院
YOMOYAMAコラム 第4回『このサイトって確か‥‥いきなりベスト3発表!』
『我思うゆえに我あり』
というのは、17世紀フランスの有名な哲学者「ルネ・デカルト」の言葉。
要するに、
「自分って何だろう?、って考えていること自体が自分の存在証明である」
ていう意味なんですが、最近の和清は我を思ってばっかです。
「俺ってなんだ?、物書きだよな‥‥」
「ニュースやコラムに力入れて書いてるけど、そもそもYOMOYAMA書院って‥‥
あっ、読み物サイトだ(笑)」
『読み物サイトのコラムがどうして漫画やアニメばかりなんですか?
普通は小説の紹介とかするんじゃないの?』
というのは、和清が自分自身に対するクレームです(笑)
と、言う事で、今回は読み物サイトらしく小説を紹介してみたいと思います。
しかも、いきなりベスト3の発表です。
語りだしたら止まらなそうだったんでムリヤリ三作品に絞っただけなんですけどね‥‥
では、まず第3位の発表です。
第3位
【魔法物語 上・下】作者・斎藤肇 1990年刊行 講談社
[ストーリー]
偉大なる魔法使いから「世界の破滅」を知らされた戦士リバ。
彼は世界を破滅から救う為、示された四人の「運命の子」を探す旅を続けていた。
世界を救えるのは、この四人の内の一人だけだと言う。
そうしてリバは、常に影を背負った少年「トーフェ」、屈託の無い明るさを持った少年「ルクセ」
と出会い、数々の冒険を乗り越えながら数奇な運命を辿ってゆく。
異世界ファンタジー。
[コメント]
当時は確か角川書店がファンタジーフェアと銘打ってファンタジー小説をノベルズで刊行しまくり、
これが大当たり。他出版社も負けじとファンタジー小説を次から次に刊行して、
世は正にファンタジーノベル戦国時代!(そこまでいってねーか…σ(^◇^;)。。。)
とまあ、要するにファンタジーブームだった、そんな時代だったと思います。
当時からRPGやバスタードの流れからファンタジーが大好きだった和清は、
もっとファンタジーを読みたい、という欲求に駆られ、
タイトルからして、いかにもファンタジー、というこの小説を書店で手に取った訳ですが。
たぶん、和清が一番最初に読んで、一番最初にハマったファンタジー小説だと思います。
この作品、上巻は「黒い風のトーフェ」下巻は「青い光のルクセ」というサブタイトルが付いてます。
一番面白いのは、上巻と下巻でまったくタイプが違うという事。
上巻の「黒い風のトーフェ」は読後、その結末に、
「これでいいのか作者!」
と気付けば叫んでいました。それくらい重くて暗いです。
その反面、下巻の「青い光のルクセ」は、
「ルクセ、愉快すぎ!」
と気付けば笑っていました。それくらい明るいです。
和清が思うに、斎藤先生はこの作品に、
「人生の明と暗」
というものを表現しようとしていたんじゃないかと思います。
そして、この作品に出会わなければ、
「小説を書いている和清」
というのは存在していなかったと思います。そういう思い出深い作品です。
残念な事に、この作品はすでに絶版となっているようで入手は困難なようです。
でも、もし古本屋で見付けたなら是非読んでみてください。
ちなみに、和清は全然知らなかったんですが、表紙と挿絵を担当されたのは佐竹美保さんという、
とても有名な画家の方だそうです。
それと、この作品には「新魔法物語・竜形の少年」という続編が出ているそうなんですが、
和清が知った時には、お目に掛かる事無くすでに絶版(ToT)
お持ちの方、もしくは「ここの古本屋で見かけた事がある」という情報を知っている方が居たら、
是非教えてくださいm(_ _)m
続いて第2位。
第2位
【コインロッカーベイビーズ】作者・村上龍 1980年刊行 講談社
[ストーリー]
同時期に母親にコインロッカーに捨てられるも奇跡的に生き延びた二人の少年、キクとハシ。
同じ施設で育った二人は、同じ境遇から親友以上の間柄となる。
しかし、青春期に入り施設を出た二人は別々の道を歩みだす。
ハシは歌の道へ。
キクは世界の変革を願った。
そうして二人は、あらゆる人々と出会い、あらゆる経験をしてゆく中で自ら運命を切り開いてゆき、
やがて世界は二人の運命に同調してゆくのだった。
野間文芸新人賞受賞作品。
[コメント]
村上龍先生の作品は、デビュー作にして出世作「限りなく透明に近いブルー」(芥川賞受賞)と、
どちらを選ぼうか散々迷ったんですが、結局こっちを選んでしまいました。
この作品が刊行された頃、和清は小学3年生。もちろんリアルタイムで読んだわけじゃありません(笑)
でも、聞く所によると、この時代は駅のコインロッカーに赤ん坊を捨てる母親が急増し、
それは『コインロッカーベイビー』と呼ばれ社会問題になっていたらしく、
当時「少年チャンピオン」でブラックジャックを連載していた手塚治虫先生も、
ブラックジャックの中でコインロッカーベイビーの事を取り上げていたそうです。
和清がこの作品に出会ったのは、確か二十歳くらいの時だったと思います。
とにかく夢中になって読みました。
そして、ダチュラという言葉を始めて知りました。
その言葉は嫌な事があった時に言う呪いの言葉のように二人には教えられるのですが、
(ダチュラには本当の意味があるのですが、ネタバレになってしまうのでとりあえず書きません)
キクはその言葉を教えられると、あらゆるものにダチュラと叫び続けます。
タクシーの運転手にまでダチュラ!です(笑)
この一節には、当時友達と「分かる分かる」と言って笑い合いました。
世界の全てを呪い続けるキク。
大嫌いな自分を混沌へと落としてゆくハシ。
憎悪の形は違えど、二人が求めた物は同じものなんです。
人が持つ"負の感情"というものを克明なまでに描ききっているこの作品。素晴らしいです。
村上龍先生の作品には、他にもまだまだ素晴らしい作品が沢山あり、
和清がもっとも影響を受けた作家でもあります。
そして、栄えある第1位は‥‥
第1位
【くるぐる使い】作者・大槻ケンヂ 1994年刊行 早川書房(その後、1998年に角川書店から文庫本化)
[ストーリー]
余命幾ばくも無い老人、波野(はの)。彼は自分を外道だと言い、昔はくるぐる使いだったと語りだす。
「くるぐる」とは、気の違った若い娘を指した言葉だったが、そんな娘達の中には、
ある種の特異な能力を持つ者も居た。
そんな娘を買い取り、芸として見せて歩くのが大道芸人「くるぐる使い」であった。
波野は美那という人の過去を言い当てる娘を買い取り、旅に出る。
しかし、二人には悲惨な運命が待ち受けていた‥‥
他、「キラキラと輝くもの」「憑かれたな」「春陽綺談」「のの子の復讐ジグジグ」
の四編を収録した短編集。
[コメント]
言わずと知れた『筋肉少女帯』ボーカル。
この作品が何作目だったかは忘れてしまいましたが、
『作家・大槻ケンヂ』
という位置を確立した作品だと思います。
早川書房のSFマガジンが主催する星雲賞を「くるぐる使い」が第25回、
「のの子の復讐ジグジグ」が第26回受賞と連続受賞。
「くるぐる使い」は翌年、吉川英治文学新人賞の候補に上がるなど、
CDで言えば、まるでベスト版のような作品。
和清がこの作品を手に取ったのは、角川書店で文庫化してからなんですが、
正直言うと、和清はこの本を凄く否定的な思いで手に取ったのでした。
「ミュージシャンが小説ねえ‥‥歌詞の世界は認めるけど‥‥」
そんな感じで。
当時から筋少は好きでしたが、小説となれば話は別。
どこまで書き切れているのやら‥‥
と、思いきや、読み始めたら引き込まれる引き込まれる!
テーマは「超常現象から見る人間の精神異常」とでも言うのでしょうか、
要するに、"幽霊の正体見たり枯れ尾花"、という言葉がありますが、
その"枯れ尾花"を題材にした作品です。
どの短編の主人公も、超常現象というものを通して精神に異常をきたし、
悲惨な末路を辿ってゆくのですが、その悲惨の中にはしっかりとした「切なさ」が表現されていて、
どの作品をとっても本当に素晴らしいものばかりだと思います。
当時はファンタジー物ばかりを書いていた和清に取って、この作品は衝撃でした。
ある意味、自分が目指す「理想の小説」を垣間見た気がしました。
もちろんファンタジー物をほとんど書かなくなってしまった今でも、この気持ちだけは変らず、
小説と言う分野では、もっとも影響を受けた小説です。
残念な事に現在は文庫本と共に絶版となってしまっているようですが、
手に取る機会があったら是非読んでみてください。
ちなみに和清は「のの子の復讐ジグジグ」がお勧めです。
ストーリーもさる事ながら、あの文の綴り方がたまりません。
さて、今回はおこがましくも敬愛する先生方の作品に順位なんてものを付けてしまいましたが、
それはあくまでも"誰かに勧めるのならば"という話であって、
和清にとっては、どの作品も同率1位です。
実を言うとこの和清、読み終わった小説は手放してしまうという悪癖の持ち主なんです(笑)
今手元に残っている物も「くるぐる使い」のみ‥‥(>_<)
基本、一度読み終わった小説は読み返したりしません。(まあ、小説に限った事じゃないんですけど‥‥)
しかし、今回ご紹介したこの3作品だけは例外で、珍しく読み返した物ばかりです。
それほどに心に残った作品だったからです。
このコラムを読んでくださっている皆さんにも、そんな一冊があると思います。
そんな一冊、もしよろしければ和清にも教えてください。是非、読ませてもらいます。
まだまだ紹介したい作品は山ほどあるのですが、今回はここまでにしておきましょう。
それではまた。